庭にはその人の人生がある。
自分の庭に思いを巡らすことのできる人間は、
きっと豊かな人生を送れるのだろう。
しあわせになるためのちょっと変わった実用書。
さあ、明日から、あなたの心にも、庭をつくろう!
本書は、たとえばこんな人におすすめします!
○先人たちの魅力的な生き方を味わいたい!
○庭って何だ? って、素朴な疑問をもってる!
○「いつか俺も立派な庭を持ちたい」って夢を持つ若者!
庭というのは、不思議なもの。
わずかな場所と労力さえあれば、誰もが庭をもつことができる。お金持ちなら、きっと広い庭をつくるだろう。でも、庭を愛したり、庭を味わい尽くすことはけっして簡単じゃない。
なぜなら、庭には終わりというものがないから。
季節の移ろいとともに表情を変えていく庭は、けっして完成することがない。庭師や園芸家にとって、それはよろこびの源泉であるとともに悩みの種でもある。庭を愛する彼らは、一日として手入れを怠ることがない。いつも、不安や不満とともに暮らしているのだ。
あなたは庭に満足していますか?
そう問われて「はい」と答えられる人は、庭師でも園芸家でもないのだろう。人生に満足しきった人が、やることがなく庭いじりに精を出すのではない。庭はむしろ、私たちがけっして実現できない理想とか夢といったものに近い。
作家、画家、映画俳優、学者、経営者……。この本で取り上げた18人の達人は、いわゆる本職の庭師ではない。でも、いろんな形で庭の楽しさや魅力、奥深さを教えてくれる「庭の達人」だ。
みんな、人生のどこかで「自分の庭」を愛した人たち。少年時代に遊んだ思い出の庭。大切な人や動物と過ごした庭。愛する花が咲いていた庭。芸術作品や思想を育んだ庭もある。庭という、いわば「なくてもよいようなもの」をどんな風に愛し、どうつき合ったのか? ここで語られるのは、そんな庭をめぐる18通りの物語だ。
庭をめぐる18通りの人生、18通りの哲学。
正しい庭の手入れとか、よい庭木の選び方とか、そんなノウハウが書いてあるわけではない。この本を最後まで読んだからといって、誰もが羨むような素晴らしい庭ができる保証は、まったくない。
18人の庭をめぐる物語を綴ったこの風変わりな本を読み終えたとき、小さな自分の庭がもつ可能性に思いを巡らせてもらえたらうれしい。そして、ひさしぶりに新しい苗木でも植えてみようか、などということになれば書き手としてこれ以上のよろこびはない。(本書、はじめに、より抜粋)
(目次)
01 芸術家 岡本太郎
02 アニメーション作家 ウォルト・ディズニー
03 実業家 白州次郎
04 ミュージシャン ジョン・レノン
05 作家 宮沢賢治
06 清朝皇帝 愛新覚羅溥儀
07 芸術家 イサム・ノグチ
08 作家 内田百閒
09 音楽家 武満徹
10 作家 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
11 作家 ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)
12 画家 クロード・モネ
13 映画俳優 大河内傳次郎
14 生物学者 ジャン・アンリ・ファーブル
15 作家 永井荷風
16 映画監督 デレク・ジャーマン
17 経営者 松下幸之助
18 作家 カレル・チャペック