最年少堂々3冠受賞(大宅壮一ノンフィクション賞・講談社ノンフィクション賞・黒田清JCJ新人賞)、NHK土曜ドラマ『遥かなる絆』の原作としても話題沸騰。1976年生まれの、たった一人の「日本生まれの中国残留孤児二世」による、魂を揺さぶるノンフィクション。
21歳の秋、旧満州に飛び込んで、中国残留孤児だった父の半生を追う──戦争の被害者である父と、満州国軍の軍人だった祖父、父を育てた中国の養母、血のつながらない親戚たち……反日と情愛の国で、まるごと受け止めた“あの戦争”のリアルとは? 10年がかりの旅の果てに浮かび上がる、戦争のもたらす残酷な運命と、語り継がれるべき「歴史」の真実とは? 「歴史」は複雑に絡み合い、ひとつの数奇な運命としてその姿を現わす。
【目次】
第一部 家族への道[父の時代]
第一章 遠い記憶
第二章 失意の底から
第三章 心、震わせて
第四章 幾つもの絆
第二部 戦後の果て[私の時代]
第五章 父の生きた証
第六章 傷だらけの世界
第七章 歴史を生きる者たち
第八章 満州国軍と祖父
第九章 運命の牡丹江
【著者プロフィール】
城戸 久枝(きど ひさえ)1976年愛媛県生まれ。徳島大学総合科学科卒業。だいがく在学中の1997年から2年間、国費留学生として吉林大学(吉林省長春市)に留学。中国語の語学研修のかたわら現代日中関係史を学ぶ。出版社勤務を経て、2005年よりフリーランスのライター。「日本生まれの中国残留孤児二世」という唯一無二の立場・視点から、自在に操る中国語を武器に、残留孤児、残留婦人、二世、三世への取材活動を続け、ルポルタージュを発表してきた。初めての著作である本書の完成までには十年近くの歳月が費やされた。もうひとつの戦後史と向き合った本書は、同時代を生きるすべての「親と子」へのメッセージでもある。
*本書は、情報センター出版局発行の『あの戦争から遠く離れて』(2007年9月)のAndroid版です。