小説『白雪姫は目覚めない』『虫籠』吉柳はじめ(著)の2作品を収録した電子書籍アプリ。
【作品紹介:白雪姫は目覚めない】
緻密にして繊細。現代社会に潜む小さな歪。
日常にありふれた綻びを鋭利に描き出すサスペンス。
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「ねえ、白雪姫は、目覚めて幸せだったと思う?」
それが彼女と交わした、最後の会話だった。
「王子様と結ばれてハッピーエンドだと思うけど」
「――私はそう思わないの」
誰からも愛された美しい少女は、そう言って姿を消した。
高校二年生のアイは『普通』である自分の人生に何の価値も見出せず、
学校のプールで自殺を図る。しかし、新しく赴任して来た数学教師、
岩本の邪魔が入り、計画は失敗に終わってしまう。
『生きている理由が見つからない』生徒と『死ぬタイミング』を失ってしまった教師――。
この出会いをきっかけに、二人は契約を結び、互いに互いの命を預けることにする。
そしてある日、アイは岩本の机から一通の脅迫状を見つけてしまう。
それは、六年前にアイの住む町で起きた女子大生レイプ事件に関するものだった。
装画/村田修
【著者プロフィール】
吉柳はじめ
明治大学法学部法律学科卒業後、都市銀行に入行。
商業用コラムに連載しながら執筆活動を開始し、今般ST社よりデビュー。
音楽と廃墟と、日向で愛犬と戯れるのが好き。