読んで面白く 語ればなお楽しい
さねとう民話の魅力がいっぱい!
さねとうあきらの創作民話は、むかし、農家の炉ばたで語りつがれた「昔話」の発想・語り口をかりて、逆境にめげない庶民のバイタリティを描きながらも、人間性の闇の部分にも目を凝らす、野太い作風で知られてきました。
さねとうあきらにかかると、昔話の悪役だった鬼や天狗や河童も、ユニークな新解釈によりイメージを一変、人も妖怪も平等の天地に棲む、ユーモアに溢れた大らかな物語の中で、われわれの「生」もまた、大自然の営みの一部にすぎぬことに気づかせてくれます。
大震災後の混乱のなかで、人間のありようを問い直す機運が盛り上がっていますが、きっとこれらの物語は、遺伝子の奥に潜む「魂の原郷」を呼び覚まし、「正解」を垣間見せてくれるでしょう。
「目次」
第一部 島 の 章
群読詩 はじめの小さな詩
第一話 おせんくじら
第二話 狐提灯
第三話 天狗雨
第四話 波小僧
第五話 流人えびす
第六話 鬼 笛
第二部 峠 の 章
群読詩 地べたっこさまの詩
第七話 どろんこぼっこ
第八話 念仏三昧
第九話 狐の平六どん
第十話 ぼうぼうさまの嫁っこ
第十一話 風婆んば
底本 : 春牛社刊 語りの本・民話編 海人と山霊の物語